母校の別府大学で小倉ヒラクさんの講演会がありました2

さて前回の続きです。
全国の発酵文化を求めて、全国を回られた小倉ヒラクさん。
47都道府県の各1種類ずつ、昔から作られてきて歴史のある、文化に根ざした発酵を取材されたそうです。
醤油や酒、味噌などは興味深い蔵がたくさんあるので、どこを取材するのか悩んだそうですが、逆に全く見たことも聞いたこともないような、しかもその場所にしかない不可解とも言えるような製法の発酵食品と、たくさん出会われたのだとか。
それを地図にまとめられたものです(かわいい)。
地元九州を見ても、明太子・うるか・松浦漬くらいは分かりますが、せん団子・むかでのり・なり・あかど漬け・・・知らないばかりか、名前を見ただけでは姿カタチを想像できません。いつか食べてみたいものです。
日本の発酵食品は、多すぎる工程も面倒臭いと言いながら、美味しくなるまでトコトンやってしまうところが海外とは違うそうで、日本の地域性というか国民性みたいなものなのでしょうか。
余談ですが、福岡県民として、明太子は納得がいかなかった(明太子が悪いわけではなく、歴史の長さとか、「発酵!」って感じがあまりしないとかが)のですが、改めて考えてみると、「福岡の発酵といえばコレがあるじゃないか!」的なものは確かに知らない。。
で、金芳醤油のある飯塚市のお隣、宮若市に、地面を掘って塩を混ぜて、泥の漬け床を作り野菜を漬ける「泥漬け」というのがあるらしいというのを思い出して、検索してみたところ、確かに宮若にもあるが、「泥漬け」は新潟の方が盛んな様子。
要は赤土の鉄分で茄子が綺麗に漬かるということらしく、「泥漬け用の土」なるものまで販売されていることに驚きました。食べると少し泥臭いと書いてあって、素直に美味しくなさそうとか、ぬか漬けで良いやんとか、思ってしまいましたが、美味しいものに溢れているこのご時世にあっても、絶滅しないのには何か知らない魅力があるのに違いない。
発酵食品は、小さな島や山奥、冬に雪で閉ざされてしまうような食料事情が厳しい地域でより発達しているようなので、やはり生き抜く為の知恵と技術の結晶だったのだ!と実感すると共に、福岡は海もあって温暖でそんなに高い山も無いし、他の土地ほど食べ物の苦労をしていないのかも知れないなどと思いました。(知らないだけかも知れないので、「こんなのあるよ!」っていうのがあれば教えてください♪)・・長い余談でしたm(_ _)m
小倉ヒラクさんによると、これからの発酵のキーワードはテロワール(風土・土地の個性)だとのこと。
日本酒にしても、ただ美味しいだけの酒を造るのには技術が確立してきて、どの蔵元にもできるようになってきた。(酒蔵によっては、米だけでなく、美味しい水を全国から運んできて造るらしい)だから、ワインのようにテロワールで個性を出すことが求められている。
発酵なら、農作物に付加価値をつけることができるので、農業も復活する。地元の有機農家と酒の醸造元が連携して面白いことを初めて、有機農業の田んぼが増えて、限界集落のような所に若い人が移り住んで地域が活性化したという実例を上げ。発酵は日本を救う底力を秘めているんだ。というお話でした。
今となっては珍しい、人の手で自家醸造をしている醤油の醸造元として、自分達に何かできることがあるんじゃないだろうか?そんなことを考える機会となりました。
本を購入&サインを書いてもらいました。ちなみに隣にいらっしゃるのはインターンシップでもお世話になった、糀屋本店の浅利さん。
昔、殿様が入った温泉の石の湯船を使っている、歴史ある照湯温泉に入って帰路に着きました。