淡口醤油の生(なま)醤油を発売いたしました

かねてより造りたいと思っていた醤油。
発酵好きの醤油屋ならば再仕込みと淡口は造ってみたい。淡口醤油はたくさんのリクエストをいただいていたお醤油でもあります。
再仕込み醤油は全国で0.9%、淡口醤油は12.5%しか生産されていない実はマイナー?レア?な醤油です。
淡口醤油は、あわい色彩と、なんともいえない優しい香りが特徴の醤油で、塩分は濃口醤油よりも高め。そのまま口にするとしょっぱく感じます。しかし、素材と一緒になることで、素材の色や味、香りを邪魔せずに、甘味やだし汁を何倍にも引き立ててくれるお醤油なのです。
しっかり出汁を含ませた煮物やお吸い物に、そっと香りをまとわせるような使い方がおすすめです。また香りが穏やかなので洋食の隠し味にも最適です。上品な白身の刺身に少しつけていただくのも美味しい。
淡口醤油は、通常の濃口醤油とは原料の大豆・小麦・塩の配合も違い、醸造期間や、あまり日に当ててはいけないなど、管理の仕方も異なります。何度も文献などを確認しながら、どんな醤油になるか最後まで気が抜けませんでした。
今回初めて仕込んでみた淡口醤油ですが、そのもろみを搾った時、生揚げ醤油ならではのフルーティで華やかな良い香りがして、「この醤油に火入をしたくないな〜!!」と思いました。火入れをするということは、醤油の色が濃くなり、香りにもフレッシュさがなくなってしまうからです。保存性の問題もあり、何度か温度を変えながら試験的に火入れをしてみましたが、やはり生の状態がとっても美味しい。添加物を使わずに生の淡口醤油を味わってもらいたくて、ほんの少しのウォッカを加えることにしました。

仕込み大豆は佐賀の吉野ヶ里の2軒の農家さんのフクユタカです。佐賀県の特別栽培A(無農薬無化学肥料)の認定を取られている農家さんの大豆と、お父様の代から数十年間の渡って有機JASを取られている農家さんの大豆です。
小麦は熊本の菊池の農家さん。2013年から農薬・化学肥料・除草剤を使わずに栽培をされています。有機肥料であっても使いすぎは良くなく、数年に一度足りない年に加えるだけだそう。
塩はオーストラリアの世界自然遺産で自然保護区の塩田で造られた天日塩シャークベイソルトです。

一つ一つに、人々の日々の努力やこだわり、自然の恵みが詰まっているから、この澄んだ淡口醤油を醸造することができました。ぜひ味わってみてください。