今年の仕込み状況、ココが変わりました!2(設備面)

新しい甑で美味しい醤油作り

全国には、醤油メーカーがたくさんあります。

しかし、閉業していく醤油メーカーが多いことには、あまり実感がわかないかもしれません。

麹を作って水に入れて熟成させて・・と、酒造りと同じような作業に酒以上の熟成期間、でも嗜好品ではないので価格をあげにくく、飲むわけではないのでそんなに減らない。そのうえ和食離れが進んでいる。

 

全国の醤油屋さんは様々な工夫をしてきました。

例えば関東では80社ほどが吸収合併を繰り返して、誰もが知っている大きな醤油メーカーとなっていたり、醤油の名産地では麹を専門に作って各醤油屋に収める、麹作り専門業者があったりして、合理化をはかっているようです。

福岡県はというと、醤油メーカーの数が日本一多く、100社近くからなる福岡県醤油工業協同組合で一括して醤油を醸造して、そのお醤油に各社それぞれの味付けをして販売している醤油メーカーが多いです。

金芳醬油は基本的に自家醸造ですが、勉強会に参加したり、技術面や分析などの相談をさせてもらったり、他のお醤油屋さんとも連絡を取らせてもらい色んなことを教わりながら、たくさん助けて頂いています。

 

しかし、それでも小さな醤油醸造元は大変で、昭和から平成初期は無添加・天然醸造醤油を作ってもなかなか売れない時代が続いたので、3代目は自分の代で暖簾を下ろしても良いとも思っていたそうです。

次第に伝統的な日本食、発酵食品が見直され、この醤油屋を若手が継ぎたいと思ったことから、この度の新しい流れが始まりました。

醤油の搾り機も、麦の割砕機も、甑(こしき=大豆を蒸す道具)も、創業当時からのものと思われるものもあり、機械と相談しながら使っている状況で、しかし新しい設備に買い換えるのも勇気が要ります。今までのように古いものでも工夫を重ねながら、品質を維持・向上させていく為に必要なところは順番に新しくしていこうと思っています。

 

前置きが長くなってしまいましたが、今年は甑が新しくなりました!

蒸気の質もいいようです。

新しい甑で美味しい発酵

写真は米麹用の米の蒸し具合をチェックしているところ。

素材の蒸し具合は、菌達がしっかりと深く根をはれるかどうかを決める大切な要素の一つです。蒸しが足りないと菌糸が入っていくことができず、蒸しすぎると水分が多くなりすぎたりして、こちらもうまくいきません。

しっかり良いものを作って、応援してくださっている方々をはじめ、世の中に送り出していきたいという気持ちにも弾みがつきました。

甑を新しくするにあたって、関わっていただいた方々に感謝です!

醤油用麹菌がふわふわ