新しいものを作リ出すことに悩んだら感動が増えた話

天然素材をふんだんに使った、ポン酢醤油とダシ醤油の新商品を作っています。
その裏話を少しさせていただきます。
美味しさや使いやすさよりも、何よりも大事なことってなんでしょう?
食品を瓶に詰めて販売するということは、何を差し置いても安心安全であることが大前提です。
まずは食べた人に害があっては本末転倒です。1番に腐敗させないこと。2番にすぐには影響がなくても、長期的に見ると害が及ぶ可能性のあるものを避けること。
防腐剤などを使わずに、保存すること。化学調味料やエキス系調味料に頼らずに旨味を出すこと。それでいて味のバランスを損なわないこと。
全てを成立させて瓶の中に表現する、それはとても大変なことなのだと、今回改めて実感しました。
思いがけないほどに、そこには決してキッチン仕事の延長だけではない、計算に計算を重ねる作業があります。
防腐剤を使わずに保存性を向上させるためには、塩分やアルコール、糖分、酸度、熱などを使います。
ダシを効率よく引くためには、水をたくさん使わなければなりませんが、水が多いと腐ってしまうリスクがあります。また、殺菌のために高い温度で長く加熱しすぎると、素材の香りや酸、アルコールが飛んでしまったりとジレンマの連続です。
化学的なものを使えば濃縮物なので、ほんの少し入れれば足りるのですが、伝統調味料や天然素材となると、たくさん使わなければ不足します。
大きな醤油工場ですと、ハイテクな製造設備で瞬間的に加熱殺菌して瓶詰めしたりと、設備面で補うような違った方法もあるのですが、小さな醤油屋のしていることは、よく言えば素朴、悪く言えば原始的とも言えるかも知れません。
世の中には、たくさんの品々が溢れていますが、例えば化学的なものを使っていてもいなくても、その商品の向こう側には、安全性や、コスト、持っている設備や、所属している企業の方針として、できることできないこと。魅力的なデザイン、容器の使いやすさ、、、そしてお客様にどう美味しく食べていただくのか。たくさんの工夫と時間を積み重ねて、どの品物も人の努力によって世に送り出されているんだと強く実感すると感慨深く感じ、感動と感謝が増えました。
沢山たくさん考え抜きました。それでも、まったく正解とは言えないかも知れません。でも一つの形が出来上がろうとしています。喜んでもらいたい、健康で幸せにいて欲しいという思いを込めて、新シリーズ間も無く発売です。