「バンダテ」ってなんだ?素材の旨さを余すところなく引き出したい!

ばんだて醤油、二番搾り醤油

先日、濃口醤油を搾りました。

少しづつ改良を重ねて、少しづつ美味しさがレベルアップしている実感があります。

醤油の搾りかす。ばんだて醤油。

今回は その搾った粕を利用して、ずっと気になっていた「二番搾り」を試しに作ってみました。

社長である父は「バンダテ」と呼んでいますが、簡単に言うと、『おから』のような、醤油の搾りカスに塩水を入れて、もう一度搾ったものです。

 

昔はこの薄い醤油に添加物で味や色を付けて、安いB級醤油を作っていたそうで 、炭坑の景気が良かった頃は、その安い醤油が飛ぶように売れたらしい。。今は一番搾りだけで、B級醤油は造っていません。

 

父の代になってすぐに二番搾りは廃止にしたそうです。なので私は「バンダテ」を見たことがありませんでした。

私が二番搾りに興味を持った理由は、ずばり、もったいない精神!です。大豆や小麦や塩、どれもこだわったものを使っていますが、どれも天の恵みを受けて、人様が働いて作ってくれたもの。

金芳醬油では一番搾りした後の粕は農家さんに引き取ってもらって、お米や野菜の堆肥になっているのでムダにはなっていないのですが、それでも まだもったいないと思うのには理由があります。

醤油屋は大切な原材料から どうやって余すことなく旨味をひきだすか、必死です。

そう考えると、2年も熟成させて 搾ったこの粕にまろやかな塩分や旨味が残っていたら もったいない!しかも、それがもしスゴくおいしかったら、、

長年2番搾りをせずに粗末にしてしまっていたとしたら、その残念さは計り知れません。

それで、ずっと気になっていたわけです。

それでそれで、手作りで、カスを水に溶いて、ザルで濾して、コーヒーフィルターで濾してみました。

 

結果は・・・!!!

醤油の搾りかすで、ばんだて醤油、二番搾り醤油

やはり醤油ほどの旨味はありませんが、なぜか醤油とは 全く違う、ポッキンアイスのような、梅酒のような、フルーティーな香りで、旨味もほんのり残っています。

これに腐らないように補塩してみました。これはこのまま観察してみたいと思います。

醤油の搾りかすで作ったばんだて醤油で再仕込み醤油

それとは別にそのバンダテで再仕込み醤油も仕込んでみました。わかりやすく言うと、二番搾りの薄い醤油に塩と醤油用の麹を入れました。

普通の醤油は塩水に仕込むのですが、バンダテの再仕込みにすると若干の旨味がプラスされ美味しくなるのでは?と考えてのことです。

 

米麹の再仕込み醤油、二段仕込み

もう1つはバンダテとは関係ないのですが、甘口醤油です。九州は甘口の醤油が好まれますが、私としてはどうしてもアミノ酸液の入った醤油は美味しいと思えない。

なので、添加物や化学的に作ったアミノ酸液を使わずに、本醸造で甘口醤油を作りたいと思っています。それで、今回は実験として、生揚げ醤油(搾ったままの醤油)に米麹を入れて熟成させる、米麹の再仕込み醤油を作りました。

再仕込み醤油を仕込む濃口醤油はそのままだと窒素(旨味)が強いのと塩分が足りないので、できはしても、最上の仕上がりにはなりません。

塩水で薄めて発酵しやすいくらいの濃さに整えます。

その液体に米麹を入れて発酵させ「炭水化物→糖」に変えて、甘い贅沢なお醤油にしようという作戦です!

薄めずに醤油原液で米麹を入れた、通称「醤油糀」は何度も作ったことがあるのですが、本気で製品化を考えて甘みを引き出すのは初めての挑戦です。

個人的には、蒲焼きのタレ・すき焼きのタレ等の甘い系の料理を、もっと上品な甘さで仕上げられるお醤油にしたいのです。

ハ○キルーペじゃないけど、「世の中の料理は甘すぎる!」

本当に、変に醤油に甘みや旨味を加え過ぎると、素材の味を消してしまいます。醤油が出しゃばり過ぎた残念な料理が多過ぎると思うのです。

そんな世の中の食べ物への不満もあって、、もっと本当に美味しいものを広めてゆきたいなと思います。

さて、経過観察のバンダテも、試作の2つも どんな仕上がりになるのか楽しみです。

改良を重ね、納得いくものになれば商品化したいと思います♪