母校の別府大学で小倉ヒラクさんの講演会がありました

店舗改装中の隙間の時間を縫ってでも聴きに行きたかった、発酵文化人類学の小倉ヒラクさんの講座。
タイムリーに記事をアップ出来なかったのですが、、みなさんにシェアしないのは勿体無い!ということで遅ればせながら。。。
演題は『発酵×デザイン 社会に発酵の価値を埋め込むイノベーション』
もともとデザイナーをされていた小倉ヒラクさん。糀モコモコ〜♪の、糀の歌の可愛らしいイラストでご存知の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「日本発酵紀行」の出版にともない、全国の発酵に関する場所を巡られたのだとか。
初めに、文化としての発酵という視点から、古事記から日本の発酵文化を紐解いたり(ヤマタノオロチの酒・酉という漢字の意味について等々)、世界の発酵が西と東、そして海外と日本ではどのように違うのか(日本で特徴的なのは単一の菌でなく、多様な菌が複合的に活躍する発酵)などが紹介されました。
また、最新の発酵文化として、AIと人が協力してぬか漬けを作る、ヌカ床ロボットの『ぬかボット』というユニークな試みが紹介されました。
「ラズベリーパイ」という超小型PCを使い、塩分濃度や水分量、酸度や菌叢などを解析し、手入れのタイミングやぬか漬の食べ頃をお喋りで教えてくれるようになっていて、瞬きをしたりとコミカルな外見もさることながら、コミュニケーションを図りながら発酵を体験することができる「ぬかボット」。
元来発酵は、(ほとんど)見えない聞こえない菌たちの様子を推し量りながら、協力してもらいたい菌が快適に過ごしてくれるように人が手入れをするものだけれど、それをAIの力を借りてより具体的に「見える」「聞こえる」化したかたちです。(発酵は菌が主役なので、真夜中に「混ぜてくれ」と言い出すこともあるのだとか!)
面白いのが、「自動で混ぜる機能」をつけるかどうかを考えたが、結果つけなかったということ。
理由の一つは、人の手の常在菌が、美味しいヌカ床を完成させるのには必要不可欠だということ。二つ目は、自動で全てを処理してしまうのは、(菌という)生き物を扱う者として薄情ではないかということ。
あくまでも発酵は、菌とのコミュニケーションを通して、楽しみ育てるものだとのスタンスが、大量生産品や利便性だけを追求した発酵とは一線を画していて良いなぁと思いました。